マレーシアEV市場の供給過剰と中国勢の影響分析
2024/11/30
こんにちは!MOOVマガジン編集部です。
本日はこちらのニュースを論説したいと思います!
【マレーシア】EV市場に供給過剰の兆し 中国勢が相次ぎ参入、国産車も
目次
マレーシアのEV市場の現状と課題
供給過剰の兆しと市場シェアの現状
マレーシアの電気自動車(EV)市場は、2024年の初めから9月までの間に供給過剰の兆しを見せています。この期間における新車販売台数に占めるEVの割合はわずか2%程度にとどまっています。
一方で、電動車全体の販売台数は3万3,319台で、新車販売全体の5.1%を占めています。この数字には、ハイブリッド車(HV)が大部分を占めており、EVの割合は1.7%に過ぎません。これにより、EV市場の成長には課題が残されています。
中国勢の参入とその影響
マレーシアのEV市場には、中国のEVメーカーが積極的に参入しています。中国の大手EVメーカーである比亜迪(BYD)をはじめ、奇瑞汽車(チェリー)、長城汽車(GWM)、浙江合衆新能源汽車(合衆汽車)、浙江零ホウ科技(リープモーター)などが市場に進出しています。
これらの企業は、地場企業と販売代理店契約を結び、次々と新しいモデルを投入しています。このような動きは、マレーシア市場における競争を一層激化させています。
国産EVの生産支援と価格戦略
マレーシア政府は、国内でのEV普及を促進するため、価格が10万リンギ(約340万円)を下回る国産EVの生産を支援する方針を打ち出しています。これにより、国産EVの競争力を高め、市場シェアを拡大することを目指しています。
特に、国民車メーカーであるプロドゥアがこの取り組みの中心となり、低価格の国産EVを生産・販売することで、EV市場の活性化を図っています。
主要プレイヤーと新モデルの投入
中国のEVメーカーと地場企業の動向
中国のEVメーカーは、マレーシア市場において積極的にモデルを投入しています。地場企業はこれらのメーカーと提携し、販売代理店としての役割を果たしています。
例えば、ベルマツ・オートは、中国の重慶長安汽車と「ディーパル(Deepal)」ブランドのEVの販売代理店契約を締結し、コンパクトSUV「S05」と中型SUV「S07」の投入を計画しています。
サイムダービー・モーターズの新モデル
サイムダービー・モーターズ(SDM)は、中国のBYDと提携し、マレーシア市場において新しいモデルを次々と投入しています。最近では、多目的車(MPV)「M6」とスポーツタイプ多目的車(SUV)「海獅(シーライオン)7」を発売しました。
これらの新モデルは、消費者に多様な選択肢を提供し、市場の競争を一層激化させています。
ベルマツ・オートの戦略と課題
ベルマツ・オートは、中国の新興EVメーカーである広州小鵬汽車科技(Xpeng)とも販売代理店契約を締結し、EV販売の拡大を図っています。しかし、地場調査会社クナンガ・リサーチは、マレーシアのEV市場が相次ぐモデル投入により飽和状態にあると指摘しています。
ベルマツのディーパルブランドの販売についても、発売から1年目の販売台数は良くても500台程度にとどまるとの見方が示されています。
今後の展望と競争激化の可能性
プロドゥアとプロトン・ホールディングスの動き
マレーシアの国民車メーカーであるプロドゥアは、政府の支援を受けて国産EVの生産を進めています。また、プロトン・ホールディングスも、同社の株主である中国の浙江吉利控股集団と独メルセデス・ベンツが折半出資する智馬達汽車(スマート・オートモービル)の「スマート」ブランドのEVを販売しています。
これにより、マレーシアのEV市場における競争はさらに激化することが予想されます。
市場飽和の懸念と専門家の見解
マレーシアのEV市場は、相次ぐモデル投入により飽和状態にあるとの指摘があります。地場金融大手RHBバンクも、マレーシアの新車販売台数に占めるEVの割合が2%程度と市場は依然として小さいと述べています。
このような状況下で、各メーカーがどのようにして市場シェアを拡大し、競争に勝ち残るかが注目されています。
国産EVの普及促進とその影響
マレーシア政府の国産EV生産支援は、国内市場におけるEVの普及を促進するための重要な施策です。価格が10万リンギ以下の国産EVが市場に投入されることで、消費者にとって手頃な選択肢が増え、EVの普及が進むことが期待されています。
これにより、マレーシアのEV市場はさらに活性化し、国際的な競争力を高めることができるでしょう。
最新記事
愛知「ゆとりーとライン」で自動運転バス実証実験開始
2024/12/26
狛江市で遠隔型自動運転バス実証実験、住民試乗会開催
2024/12/25